Grobal IT Topics Report

Global IT Topics Report # 10

作成者: 川島 宏司|2024.05.27

トレンド

生成AIに関連したゴタゴタの勃発

イーロン・マスク氏が、AIグループの立ち上げ時に締結された合意を遵守しなかったとして、OpenAIとその最高経営責任者サム・アルトマン氏を告訴、裁判所に対し、GPT-4が汎用人工知能としての資格があるかどうか判断するよう求めています。
OpenAIは今のところ、すべて無視しています。

(争点)
Open AIは、営利企業ではなく、人類の利益のために AGI を開発する非営利として運営されることが明記されていた

→Microsoftのクローズドソースの事実上の子会社になっている
安全性を考慮して別のアプローチをとることが正当化される場合を除き、AI開発者はその作業をオープンソース化することを約束した
→ Microsoft と OpenAI との提携により、基準を満たさないモデルのみライセンスを取得

Microsoft Copilot Designerツール

生成された画像が物議を醸したOpenAI の DALL-E 3 ベースのDesignerについて、著作権侵害や不適切な画像を生成するとして、報告を上げたものの、対処されなかったとして、内部告発者がFCCに公開書簡を送る騒動に発展。
これと時を同じくして、150人を超えるAI研究者が、誤った情報、有害なコンテンツ、偏見、プライバシーに関する継続的な問題について懸念を強め、AI企業に対し、モデルの安全性に関する独立した研究をより効果的に支援するよう求めています。

<参照URL>
https://siliconangle.com/2024/03/08/openai-elon-musk-battle-intensifies-ai-trust-sinks-investors-arent-slowing/
https://www.cnbc.com/2024/03/06/microsoft-ai-engineer-says-copilot-designer-creates-disturbing-images.html
https://sites.mit.edu/ai-safe-harbor/

USキャリア

Verizon

NTNによるD2D通信に否定的なポジション

AT&TがAST Space Mobileと、T-MobileがSpace-Xと衛星通信に関する発表をする中、Amazon Project Kuiperとの提携を発表して依頼、アップデートのないVerizonはNTN D2D接続に対する消費者の大きな需要が見えていないこと、また衛星会社が独自の周波数帯を使用していることから、様子見としています 。
現時点では5G と衛星通信がどう連携できるか模索のフェーズ、Apple iPhoneが14以降で対応した緊急通信サービスは認めつつ、それが売上に貢献しているわけではないこと、衛星通信に周波数帯を割くなら、通常の全国5Gに割り当てたいことも挙げています。携帯電話の通信範囲のない「ホワイトスペース」エリアでは役割を果たすことになるが、それは「ごく一部の顧客」にしか意味がなく、ビジネスモデルが課題になるとのこと。

<参照URL>
https://www.fiercewireless.com/wireless/why-verizon-isnt-playing-d2d-game-t-mobile-and-att

ワールドワイドキャリア

Vodafone

Accentiureと提携してAIチャットボットをリリース

若年層向けブランドVOXI by Vodafone で一部顧客から
顧客と人間のようなやり取りを行うChatGPTベースのAIチャットボットを導入、
より高度な顧客のリクエストを管理することにより、
ユーザー エクスペリエンスを向上するテストを行い、順次拡大するとのこと。
提供に際して、AI テクノロジーの責任ある倫理的な展開を保証するために顧客を保護することを目的とした
原則とガイドラインが組み込まれているともしています。
<参照URL>
https://www.vodafone.co.uk/newscentre/press-release/voxi-becomes-first-uk-telco-launch-ai-chatbot/

政府/団体

アメリカ政府

バイデン大統領、年次一般教書演説で、AIによる音声なりすましの禁止を議会に要請

「AI の音声なりすましを禁止せよ」という呼びかけは、生成 AI が使用されている ユースケースの1 つである音声クローンについて、2024年1月23日の予備選挙を前にニューハンプシャー州で生成AIで声を偽装したロボコールが使用され、投票しないよう呼びかけていたことに端を発しています。

<参照URL>
https://www.cbsnews.com/news/state-of-the-union-transcript-2024/

Tech Giants

Amazon

特定の条件でEgrees Costを課金しないように料金を変更

先週GCPも同様の発表を行っていますが、EUのData Act( 2025 年 9 月に発効)における顧客があるクラウドインフラプロバイダーから別のプロバイダーへの切り替えを容易にする(追加コストを強いない)ことで、公正な競争を促進するという規定に対応せざるをえず、マルチクラウド アプローチを採用している顧客や、データを社内に戻したい顧客にも適用するとのこと。
AWS はすでに顧客に対し、最大 100 ギガバイトのデータを無料で転送できるようにしていますが、顧客にとっては十分とは言えず、請求されるEgrss Costは多額にとなり、移動はし辛い状況でした。
顧客はデータを代替プラットフォームに移行する前に、サポートスタッフに連絡する必要があるとし、承認されると、計画された移行を完了するために十分な数の60 日間有効なデータ転送クレジットが付与されます。

<参照URL>
https://aws.amazon.com/blogs/aws/free-data-transfer-out-to-internet-when-moving-out-of-aws/?asc_campaign=kinjaquartzlink-20&asc_refurl=https://qz.com/amazon-aws-google-cloud-data-fees-eu-1851309588?utm_source=msn-news&asc_source=&tag=kinjaquartzlink-20

企業

Accenture

生成AIスタートアップCohereとの提携を発表

生産性と効率を大幅に向上させるカスタマイズされた生成 AI ソリューションを提供することを目的とし、Cohereから、独自のLLMであるCommand と、企業内データ検索テクノロジ(RAG)であるEmbedおよびRerankを提供、
Accentureの業界専門知識とクラウドインフラを組み合わせ、データのプライバシーとセキュリティを確保しながら、企業が AI を自社の業務に統合できるよう支援する予定とのこと。
*Accenture社内では、Financeチームのナレッジエージェントの強化に利用。

Cohere の AI システムは、財務データを正確に要約し、差異を検出し、カスタマイズされたアラートを送信して、意思決定と業務効率を向上させることができているとしています。

<参照URL>
https://txt.cohere.com/cohere-accenture-collaborate/

ベンダ

VIAVI

測定機器ベンダ Spirentを13億ドルで買収と発表

VIAVIの光ネットワークのテストや光ファイバー監視ソリューションなどに、SPIRENTの positioning, navigation and timing technologies(PNT)で補完するとし、一部重複する部分があるため、さらなるリストラは避けられないともしています。
PIRENTはFY23に年間受注が24%減少し、売上高が22%減少していました。

<参照URL>
https://www.viavisolutions.com/en-us/news-releases/viavi-solutions-agrees-acquire-spirent-communications-create-leading-provider-test-assurance-and

Anthropic

Anthropic 初のマルチモーダル生成AI Claude3を発表

Claude 3 は、2023 年 8 月より前のデータを使用して学習したモデルであり、テキストの他、写真、チャート、グラフ、技術図を処理(1 回のリクエストで最大20の画像を分析、人は認識せず低解像度は苦手)したり、PDF、スライドショー、その他の種類のドキュメントから描画(アートワークは生成しない)でき、Claude 3 Haiku、Claude 3 Sonnet、および Claude 3 Opus という3モデルで構成されます。
Opus が最も強力で、いずれも分析/予測機能を向上し、GPT-4 (GPT- 4 Turboは除く) やGoogle のGemini 1.0 Ultra (Gemini 1.5 Pro は除く) などのモデルと比較して、特定のベンチマークでのパフォーマンスが向上しているとのこと。
Opus と Sonnet はWeb、Anthropic の開発コンソールと API、Amazon のBedrockプラットフォーム、Google のVertex A I 経由で利用可能で、Haiku も今年後半にリリース予定としています。

<参照URL>
https://www.anthropic.com/news/claude-3-family

Salesforce

AIローコードツールEinstein 1 Studioを発表

開発者が AI を使用して構築するツールを手に入れ、ノーコード、ローコード、またはプロコードで AI ファーストの未来に備えられるようにしたいとし、開発者や管理者が Einstein Copilot をカスタマイズし、Salesforce Data Cloud 内から企業データにアクセス、あらゆる顧客管理アプリや AI エクスペリエンスに組み込むことができるとしています。
Einstein 1 Studio は、Copilot Builder、Prompt Builder、Model Builder の 3 つのコアツールで構成されています。
Copilot Builder を使用すると、ユーザーは特定のビジネス タスクを達成するためのカスタム AI アクションを作成でき、Prompt Builder を使用すると、作業フロー内でカスタム プロンプトを作成およびアクティブ化できます。
Model Builderは、開発者に、特定のニーズを満たすためにさまざまな AI モデルを構築またはインポートする柔軟性を提供します。

<参照URL>
https://www.salesforce.com/products/einstein-ai-builders/

Snowflake

オープンソースLLMを開発する仏Mistral AIとの提携を発表

Snowflakeは、Mistral AIに投資するとともに、Mistralが構築したOpen LLMを自社のデータクラウドに取り込み、LLMアプリの構築を検討している顧客が直接利用できるようにする計画とのこと。
Snowflakeは、顧客がプラットフォームに保存されたデータを使用して生成 AI を活用したアプリケーションを開発するソリューションとして、 LLM アプリの構築に特化したフルマネージ サービスであるCortex も提供しています。
Cortex は、データ クラウドを使用する企業に、オープンソース LLM を含むビルディング ブロックを提供し、Snowflake のセキュリティ、プライバシー、ガバナンスを利用してSnowflakeのプラットフォーム上にあるデータを分析し、ターゲットを絞ったアプリケーションを構築可能にします。
選択可能なLLMにはMeta Llama2やGoogleの最新のLLM Genmaなどがありますが、今回の提携で、 Mistral AIのMistral Large だけでなく、Mixtral 8x7BおよびMistral 7Bモデルが利用可能になるとのこと。

<参照URL>
https://investors.snowflake.com/news/news-details/2024/Snowflake-Partners-with-Mistral-AI-to-Bring-Industry-Leading-Language-Models-to-Enterprises-Through-Snowflake-Cortex/default.aspx

Box

Box AIをGA

昨年12月にベータ提供を開始したBox AIをGA、Box AIを Microsoft Azure OpenAI サービスと統合したとのこと。
たとえば、金融サービス企業は、Box に保存されている詳細なレポートから、市場動向や経済指標などの洞察を抽出でき、公共部門の機関は生成型 AI を利用して、関係者や政策研究の取り組みからのフィードバックを迅速に要約し、証拠に基づいた意思決定や政策開発を導くことができるとしています。
ベータテスターは、Box AI を使用して IR 文書を分析して投資決定を支援したり、電子メール、ブログ投稿、ソーシャル向けの新しいコンテンツを生成したりしているとのこと。
Box AIは現在、Enterprise Plusプランの加入者向けに一般提供されており、個人ユーザーは月あたり20件のクエリにアクセスでき、企業レベルではさらに2,000件のクエリが利用できるとしています。

<参照URL>
https://www.box.com/ai

Crowdflare

Nefeli Networksを買収

元々マルチベンダNFV管理ツールであるLean NFVを推進していたNefeliは、パブリッククラウドプロバイダーが提供する API を利用して、クラウドに統合された抽象化レイヤーを構築、個別の仮想化ネットワーク機能を展開または管理する必要なく、マルチクラウド ネットワークの管理と運用を提供。
Crowdflareは、この技術をベースに複数のパブリック クラウドにまたがるネットワークを管理するMagic Cloud Networkingをリリース。
このサービスにより、企業はネットワークの構成方法を定義するルールを作成できるようになり、たとえば、管理者は、2 つのアプリケーション間のトラフィックを暗号化し、ルーティングするようポリシーを作成でき、クラウド リソースの構成が管理者が設定したポリシーと一致しない場合はそれを検出、問題を自動的に修正できるとしています。
また、APIにより、企業の他のクラウドインフラ自動化ツールとサービスを連携できるとのこと。

<参照URL>
https://www.cloudflare.com/press-releases/2024/cloudflare-enters-multicloud-networking-market-unlocks-simple-secure/
https://blog.cloudflare.com/introducing-magic-cloud-networking

ARISTA

ネットワーク可観測性ツール CloudVision Universal Network Observability (CV UNO)を発表

ネットワークのパフォーマンスと、コンピューティングおよびサーバーのログシステムからのデータを統合し、DC、キャンパス、WANのアプリケーションとワークロードのパフォーマンスに関する一元的なE2Eの洞察を提供するとのこと。

  1. Arista Network Data Lake (NetDL) のデータと CloudVision の洞察を組み合わせることで、ネットワークとアプリケーションの状況の包括的なビューを提供。
  2. ネットワークの問題や異常の相互参照と分析、ネットワークに変更を加える前に、潜在的な混乱を評価。
  3. 機械学習を分析して NetDL 内のデータセットに適用し、ネットワーク プロビジョニングや状態の変更がビジネスや重要なアプリケーションにどのような影響を与えるかを特定。
  4. インフラストラクチャ システム、仮想化マシン、記録システム、ネットワーク フローおよび状態データからの洞察を統合することにより、アプリケーションのパフォーマンス問題の根本原因を正確に識別。

<参照URL>
https://www.arista.com/en/company/news/press-release/19195-pr-20240305