UEの接続動作

2023.04.17

尾登 和弥 尾登 和弥

目次

私たちの所持しているデバイス(UE)は様々な動作を行い、普段使用しているインターネットに接続されます。

電波が良いから使用しているキャリアへ接続されている。と言ったことはもちろんなのですが、実際にはインターネットに接続されるまでにデバイス(UEは、gNB(基地局)、コア装置と様々な装置と処理を行うことでインターネットに接続されます。

繋がる仕組みを理解することで電波は問題ないが、繋がらない理由を知ることができますので、参考情報になればと思います。

接続手順

インターネットに接続されるまでにUEgNB、コア装置と様々な通信を行っています。以下簡易図ですが、実際には各コネクションを繋ぐにはルールがあり、様々なやり取りを数秒で行っています。

img03_2_UE-80-1

UEgNBが繋がるまで

UEの電源ON

UEは電源をONにすると、UEとgNBの間でメッセージのやり取りを開始します。

最初に行われることは、UEが受信可能なすべてのgNB情報を収集します。

gNB情報は同期信号(SS)と呼ばれます。

同期信号はgNBから常時一定の周期で送信されています。

img04_UE-80

gNBの選択

同期信号を受け取ったUEは、受け取った情報を整理します。

受け取った情報には、gNBが所属している通信キャリア(携帯会社)の情報であるPLMNと言う情報が記載されており、整理した情報をリスト化し、UE接続出来る基地局を選定します。

この時点ではまだUEは電波を発信しません。

img05_UE-80

接続するgNBの選択

リスト化した情報から接続するgNBを選択します。接続するgNBは下記の優先度で選択されます。

  • 携帯電話が最後に接続されたキャリアのPLMN

  • SIMカードを発行した事業者のPLMN

img06_UE-80

gNBと接続する

接続するgNBを選択後、ランダムアクセス制御と言ったやり取りをUEgNBで実施します。

ランダムアクセス制御では、電波のやり取りをするパターン (送受信のタイミング) を決定します。これは電波を送信する=他の人のUEから送信される電波の邪魔をする可能性があるので、UEgNBで相談し、最適なパターンを決めます。

ランダムアクセス制御が問題なく完了すると、RRCRadio Resource Control)を行い、
gNBとのコネクションが確立されます。

img07_UE-80

UEgNBが繋がるまで (まとめ)

ここまでのやりとりで、UEからCU/DUgNB)までのコネクションが確立されます。

このあとはUE5GCでやりとりを行います。

img08_2_UE-80-1

UE5GC繋がるまで

登録要求を行う

次にUEはコアシステムである5GCに登録を行うため、UEの情報を5GCに送信します。

情報には接続したgNBとのコネクションを示すID、位置情報、SIMカードに記憶されているIMSIといった固有のIDや、サポートしているセキュリティアルゴリズムなどになります。

img09_UE-80

認証を行う

登録要求を受け取った5GCは、要求を出したUEが接続可能なUEなのかを判断する必要があります。そのため、UEに認証要求送信し、5GCは認証応答受け取ります。

5GCは認証応答の情報を元にDBUDM)に問い合わせ、認証を行います。

img10_UE-80-1

セキュリティを行う

認証処理が完了したら、次にセキュリティ情報を確認します。

セキュリティのアルゴリズムは複数あり、UEの情報と5GCで設定させているアルゴリズムで選択されます。

img11_UE-80

登録要求の完了処理

認証とセキュリティが完了し、登録要求の手順を終了します。

5GCとしては、UEの受け入れが完了したことを通知、UEは確立が完了したことを通知します。

img12_UE-80

UEと5GCが繋がるまで(まとめ)

ここまでのやりとりで、5GCは登録要求を行ったUEが使用できるUEと認識します。

このあとはインターネットとやり取りをするため、gNBと5GC(UPF)との経路を作成し、
UE
からインターネットにアクセスできるようにします。

img13_2_UE-80-1

UEとインターネット繋がるまで

UPFとの通信経路の確立要求

5GCの登録手順が完了したUEは、 InternetDN) とUEを繋ぐための通信経路を5GCに要求します。UEは確立を行うためPDU(Protocol Data Unit)のセッションの確立要求を5GCに送信します。

img14_UE-80

応答とgNBのリソース確認

セッションの確立要求を受け取った5GCは、要求を出したUEの接続先を確認します。、要求に対する応答と、gNB5GCUPF)との経路を構築するためのリソース確認要求をgNBに送信します。

リソース確認要求には、PDUセッションで使用するタイプ(IPv4IPv6等)、Qos RuleSession AMBRPDU AddressNSSAIMTUサイズ、DNNUPFIPや紐づくトンネルのIDなど多くの情報の確認を行っています。

img15_UE-80

gNBのリソース応答

5GCからのリソース確認要求に対して、gNBリソース情報を含めた応答を返します。

img16_UE-80

gNBのリソース応答

応答を受けた5GCはインターネット向けの経路を担当しているUPFgNBの経路を確立します。

確立後、UEはインターネットにアクセスできるようになります。

img17_UE-80

UEとインターネットが繋がるまで(まとめ)

ここまでのやりとりで、UEからインターネットまでの経路が作成され、UEはインターネットに接続が可能となります。

img18_2_UE-80-1

まとめ

デバイス(UE)がインターネットに繋がるまでをかなり簡単にご説明させて頂きました。
実際にはもっと複雑な情報のやり取りが、gNBの内部、5GCの内部で行われており、すべてを理解することは難しいです。

電波が良いから繋がるはもちろんですが、デバイス(UEは、gNB(基地局)や5GC(コア装置)と様々なやり取りを行うことでインターネットまでの通信を確立していることを知って頂ければ幸いでございます。

仕組みがイメージできることで電波以外の繋がらない理由のヒントや、必要な設定のヒントを得ることもできますので参考情報になればと思います。

 

この記事をシェア

尾登 和弥 尾登 和弥

2019年に中途入社し、3Gや4G RANのエリアオプティマイゼーションや4Gコアの構築・検証・保守に従事。現在はラボに籠り、ローカル5Gの構築・検証、デモ環境構築などを担当中。