はじめましてCTC工事監理部です。私たちは工事監理者の立場から、ITプロジェクトの成功に向けた、ちょっとしたお役立ち情報をお届けしていきます。
今回から始まるケーブルマスターシリーズでは、プロジェクトにおける重要な要素の一つである『ケーブル』について解説していきます。
①どのケーブルが欲しいのですか? ←今回はこちら! |
②ケーブル見積に必要な情報とは? |
③Cat7、Cat8ケーブルの手配はできるのか? |
④ケーブル⾧の考え方 |
⑤ケーブル発注時の留意点 |
⑥通常径と細径の比較(UTPパッチコード) |
⑦添付電源コードの仕様・⾧さにもご注意下さい! |
【参考】電源コンセント種別一覧 |
ITプロジェクトで利用されるケーブルには、おおよそ以下のものがあります。
通信ケーブル | 光ファイバーケーブル | 非常に細く繊維状に作られた、大容量の光(情報)を通す伝送ケーブル |
UTPケーブル | 非シールドより対線。ノイズ遮断の処理がされていないケーブル | |
STPケーブル | シールド処理のされているケーブル | |
同軸ケーブル | 電気通信に使われる被覆電線 | |
CCPケーブル | 電話用の配線として使用されるケーブル | |
制御ケーブル | CPEVケーブル | 市内電話回線やセキュリティなど通信制御線として使用されるケーブル |
それぞれのケーブルは、用途によってさらに細かく分類されますが、その中から代表的なものを取り上げて解説していきます。
主に架内配線に用いられるパッチコード(両端にコネクタが取り付けられ、工学特性が保障されたもの)です。
また2本の光ファイバーケーブルをまとめたタイプは、そのコネクタ形状から2芯メガネ型と呼ばれています。
※「ケーブル」と「コード」には厳密には違いがありますが、ラック内での配線においては、ほぼ同義となります。
インターフェース:(コネクタ形状):LC、SC、MPO等
グレード:OM3、OM4(マルチモード)、OS2(シングルモード)
工場出荷されたパッチコードとは異なり、⾧距離区間を接続する場合に使用します。
ケーブル敷設し、光スプライスパネル内で光コネクタに接続できるように光コードとケーブルを融着(接続)し、光損失測定試験を行うことで配線規格に適合させます。
工場、オフィス縦幹線、病院、倉庫などで利用することが多いです。
両端にMPOコネクタが付いたファイバーケーブルです。1つのMPOコネクタは、8本以上のファイバーを束ねたリボンケーブルに対応します。高密度・広帯域の配線が可能となります。
このケーブルは、IEC規格の61754-7とU.S.TIA-604-5規格に準拠しています。一般的には、8芯、12芯、16芯が広く利用されていますが、24芯、32芯、48芯、72芯が採用されることもあります。
STCの1つのインタフェースから光を分配して複数のDUTに送信するためのケーブルです。
例えば100Gbps対応STCから25GbpsのDUT4台に同時に試験を行うことが可能です。ブレイクアウトケーブルには下記のような種類があります。
ACC1049A :QSFP28×1→25Gbps(SFP28×4本に分岐)
ACC6087A : QSFP+×1→10Gbps (SFP+x4に分岐)
AOCケーブル(Active Optical Cable)は、高速データ転送やネットワーク接続に使用される光ファイバーベースのケーブルです。
AOCケーブルは、データセンターやハイパースケール環境など、⾧距離の通信や高い帯域幅が求められる場所で広く利用されています。
AOCケーブルは、柔軟性と高い信号品質を兼ね備えています。光ファイバーの利点である電磁ノイズへの耐性や伝送損失の低さを活かしながら、ケーブルの形状やサイズを変更できるため、設置や配線の容易さがあります。また、AOCケーブルは光の利点を生かしながら、コスト効率も考慮されています。
シールド処理が施されていない、ペアの撚りケーブルです。 一般的なLANケーブルとして使用されています。
インターフェース(コネクタ形状):RJ45、 グレード:Cat6A、Cat6、Cat5eストレートケーブル
※UTPのみを「LANケーブル」と解釈されている方もいますが、広義的には光ファイバもUTPも「LANケーブル」となります。
工場出荷されたパッチコードとは異なり、⾧距離区間を接続する場合に使用します。
ケーブル敷設し、RJ45コネクタを取付け(成端)、グレードにあったケーブル試験をすることで配線規格に適合することができます。
グレード:Cat6A、Cat6、Cat5e また、シールドされたSTPケーブルもあります。
スタック接続ケーブルは、ネットワーク機器を相互に接続するためのケーブルです。
特に、ネットワークスイッチやルータなどの機器をスタック(積み重ね)して1つの論理的なユニットとして動作させるために使用されます。
スタック接続ケーブルは専用のコネクタを使用して機器間を接続することにより、高速かつ信頼性の高いデータ転送が可能になります。そのため、通常、短い距離で使用されます。
SASケーブル(Serial Attached SCSI Cable)は、コンピュータシステムやデータストレージシステムで使用されるデータ転送用のケーブルです。
SASは、Serial Attached SCSIの略であり、高速で信頼性の高いデータ転送を可能にするインターフェース規格です。
SASケーブルは、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、テープドライブ、および他のデバイスをコンピュータシステムに接続するために使用されます。
Direct Attach Cable(DAC)は、両端に光ファイバーケーブルと同じ規格のコネクタが付いた銅ケーブルです。
DACケーブルは、ネットワークスイッチ、サーバー、ストレージデバイスなどの機器間を直接接続するために設計されています。そのため、直接接続、「Twinax」ケーブルとも呼ばれます。 DACケーブルは、光ファイバーケーブルに比べて物理的な取り扱いが容易で、設置や設定が迅速に行えるという利点があります。
また、高速データ転送においても低遅延と高い信号品質を提供します。さらに、DACケーブルは光モジュールを使用せずに直接機器を接続するため、コスト面でも有利な選択肢となります。
コンピュータ本体とKVMスイッチ(CPU切替器)の間を結ぶ、複数の端子やケーブルを一体化した特殊なケーブルです。
同軸ケーブルは、高周波(RF)信号を効率よく伝送する目的で利用されています。最近はローカル5G、GPSアンテナに接続する際に使用します。
送信側から受信側へ効率よく高周波信号を伝送、反射を生じさせないためには、機器同士のインピーダンス特性が同じであることはもちろん、同軸ケーブル・同軸コネクタのインピーダンスも一致して、整合が取れている状態が望ましいです。
同軸コネクタには、使用する周波数帯やインピーダンスにより複数のタイプがあります。
今回の記事では、主要なケーブルの種類とそれぞれの用途について紹介しました。正しいケーブルを選択することで、ネットワークの信頼性やパフォーマンスを向上させることができます。また、見積書やプロジェクト計画の作成においても、適切なケーブルの選定は不可欠です。
次回以降もケーブルに関する記事が続きます。さらに詳細なケーブルの特性や選定方法などを取り上げていきます。ぜひ日々の業務でお役立てください。
ご注意:記載の内容は、CTCの工事業務で得られた情報を基にしたもので、正確性や利用目的への適合性について保障するものではありません。
写真提供:エイム電子株式会社 http://www.aim-ele.co.jp/